匂い立つような陸奥湊を、明日を照らす旗印に変えて。 ――ロゴ「KAMARI」に込めた願い Carrying the Spirit of Mutsuminato into the Future
帰り道、どこかのおうちの夕飯の支度の匂いがしてくる。「今日はカレーかな?」なんて考えながら、お腹を空かせて家へと向かう。ワックスがけをした後の教室の匂い。あの独特なツンと鼻を刺す匂いが学期末の浮き足だった気持ちを思い出させる。蚊取り線香の白い煙の匂い。夏休みにおばあちゃんちで過ごした日々が蘇ってくる。当たり前のようにそこにあったけれど、どこか懐かしい香り。
きっと匂いと記憶は密接に繋がっていて、記憶を心のどこかにしまっている。その懐かしい匂いに触れたとき、一気に記憶が蘇ってくる。
誰にでもあるそんな記憶の断片を、ここ陸奥湊の街も持っています。
早朝、静まり返った港に漂う潮の気配。朝市から立ち上る湯気と、活気ある人々の熱。 この街を歩くとき、ふと鼻をくすぐる「かまり」の中に、私たちはこの場所が刻んできた歴史や暮らしを見つけるのです。
この街の愛おしい「かまり」。それを目に見える形に、ずっと残る証にしたい。 そんな願いを込めて、このロゴのデザインを紐解いていきたいと思います。
ふとした瞬間に蘇るあの「かまり」が、いつか記憶を呼び覚ますための目印になる。
三つのかまりに触れる / Discovering the Three Kamari
ー海のかまり / The Kamari of the Sea
この街には「海のかまり」があります。
あの潮風に含まれる少しベタつくような、肌にまとわりつく生命力に溢れた香り。
そんな街の「基盤」とも言える海のかまりを、私たちはロゴの一番下の三つのラインに刻みました。
太平洋の力強くもあたたかい波。
そして、陸奥湊の懐深くへと流れ込み、山と海、人と自然を繋ぐ「新井田川」のゆったりとした拍動。
東北の玄関口とも称されるこの港に、静かに、時に力強く横付けされていく舟。
誰よりもこの街を見守ってきた大きな海と川が織りなす風景を、この三つの重なりで表現しています。
港に横付けされる舟と、街を包む潮の気配。
ー文化のかまり / The Scent of Culture
この街には文化のかまりがあります。
人々がこの土地に住み始めてから、長い年月をかけて積み上げてきた伝統と文化のかまり。
夜明けとともに新鮮な魚が並ぶ朝市。
背中に大きなカゴを背負い、街を行き交う人々。
朝日に照らされながら刻一刻と表情を変える陸奥湊の街。
そんな、この土地の人々が築き上げてきた唯一無二の温度感を、ロゴの中段へと落とし込みました。
少し視点を変えて見てみてください。右側のパーツを切り取ると、「人」という漢字が浮かび上がってきませんか?
波のようにも見えるこの形は、実はこの街を支える「人」の姿でもあります。私たちが何より大切にしたい、陸奥湊の「人のあたたかさ」を、この重なり合うデザインで表現しています。
さらに、この中段のデザインにはあえて「朱色」をあしらいました。
これは、刻一刻と明けゆく空の下、街全体が朝日に照らされていく瞬間を表現しています。 「人」という漢字のようにも見えるこの曲線は、実はこの街の賑わいの中心である「朝市」の風景も重ね合わせています。朝日に照らされ、軒を連ねる色とりどりのテントの屋根。そこから立ち上る湯気と、人々の威勢のいい声。そんな、陸奥湊でしか出会えない熱量をこの色と形に込めました。
そして何より、この「文化のかまり」が下段の「海」と上段の「旅」に挟まれていることには、大きな意味があります。
海という大いなる基盤に支えられ、新しい旅人という外からの風を受け入れる。そのすべての中心にいるのは、いつだってこの土地で暮らしを営む「人」です。
この土地の最大の魅力である「人」を、KAMARIもまた、活動のど真ん中に据えて大切にしていきたい。そんな私たちの想いをこの三層構造の真ん中に配置することで表現しています。
明けゆく空と、朝市を照らす光。
ー旅のかまり/ Kamari of Travel
そしてこの街には新たな旅人が運んでくる旅のかまりがあります。
うみねこの賑やかな鳴き声とともに、街の入り口でどっしりと腰を据え、人々を見守り続けてきた蕪島神社。
岩場に打ち付ける白い波と、そこに生きる四季折々の植物が織りなす鮮やかな種差海岸。
街のどこからでも見渡せるなだらかな曲線の階上岳に上る朝日。
ロゴの最上部、パッと目を引く「赤い円」は、そんな旅の始まりを告げる太陽。
その下のラインは、階上岳の山並みや種差の海岸線、そして蕪島のシルエットといった、この街を形作る美しい造形をひとつに繋げたものです。
この光とラインの重なりは、この地を訪れる旅人にとっての「新しい夜明け」であり、この街がずっと大切にしてきた「変わらない誇り」でもあります。
どこまでも続く芝生の緑。
この美しい海岸線が、ロゴの最上部を描くラインになりました
Endless stretches of green meeting the sea. This beautiful coastline inspired the line that forms the top of our logo.
目に見えないかまり/ The Invisible Kamari
そしてこの三つのかまりの間には、目に見えないかまりが存在します。
旅人がこの街に降り立ったとき。ふと鼻をくすぐる潮の香りに、なぜか遠い故郷の夕暮れを思い出したり、幼い頃の記憶の断片が鮮やかに蘇ったりすることがあるでしょう。
それは、その人が大切にしまっていた「心の中の記憶」が、陸奥湊という土地が放つ「テロワール(風土)」と共鳴する瞬間です。
陸奥湊の匂い立つようなテロワールと、あなた自身の懐かしい記憶。その二つが溶け合い、形を変えて、新しい物語として心の中に立ち上がっていく。このロゴが、そんな「旅の夜明け」を象徴する旗印になればと願っています。
Designed by asobis
Designed by asobis
2027年春、陸奥湊でお会いしましょう
この街の空気には、記憶を引っ張り出す不思議な力があります。
ふと感じる懐かしさは、街に漂う「かまり」があなたの心に触れた証拠。
それは、決して洗練されたアロマではないかもしれません。
けれどそこには、街の人々の温かさと、ここで力強く生きてきた営みの証が染み込んでいます。
海、文化、そして人。 この街の「三つのかまり」があなたの五感を刺激し、また新しい物語を編み出していく。
2027年春。私たちと一緒に、新しい「旅のかまり」をつくりませんか?